Public Lab · #001 · 2026
POROMAT in Laos
粘土の上を歩けるようにする、最初の試行錯誤
By Hikaru Oishi · Vientiane field survey, 2026
01 · 起点
川になった道を見た日
2025年の雨期、ヴィエンチャン郊外。Nayan の家に向かう途中、舗装されていない道が文字通り川になっていた。子供たちが靴を脱ぎ、膝下まで泥に沈めて学校へ歩いていた。これは自然災害ではない。毎年、当たり前のように起きることだ。
ラオス全土の道路のうち 78% が未舗装。首都周辺の地盤は粘土層で、水が地中に浸透できない。国家規模の道路整備を待っていても、現在この場所で泥に沈んでいる子供の足は、濡れ続けたままになる。
Hypothesis
土木で使うジオセルを、個人が背負える最小単位まで縮小できれば、現地の土・砂・砂利だけで、歩ける面を自力で成立させられるのではないか。
02 · 観察
粘土層の透水試験
現地で採取したサンプルを使い、浸透速度を測定した。結果は仮説通り——表層の粘土は事実上の不透水層だった。水は地面を伝って低所に集まり、道路の形を消していく。だが、地表から 15〜20cm 下に砂質の層が現れる地点がある。ここまで到達できれば、水は抜ける。
03 · 試作
Folded Cell Carry Kit — 第一次試作
PP 中空プレートをセル状に折り、PET 不織布で底面を張った。展開状態で 1m×0.6m、折りたたむと A4 サイズ、重量 1.8kg。アンカーピンは L 字型のスチール製、現地のワイヤー屋で入手可能なもの。
設置は、粘土層を 15cm 掘る → 不織布を敷く → セルを展開する → 現地の砂利で充填する → 踏み固める。訓練を受けていない Nayan が、動画と口頭指示だけで 2分48秒で完了した。
Load Test · First Iteration
Load
60 kg
Target
≤ 20 mm
Result
27 mm
目標値を 7mm 超過した。セル壁の座屈がボトルネック。次回試作ではセル壁を二枚重ね、またはリブ構造に変更して再試験する。
04 · 次
未解決のまま、次の反復へ
第一次試作は荷重目標を満たせなかった。しかし、展開時間・重量・現地材料での成立は仮説の範囲内に収まった。次の反復ではセル壁構造を変更し、さらに「泥が舞い戻る問題」への不織布目合の再選定、雨期中の試験運用を計画している。進行状況は CORE LAB で順次公開する。
Continue the Process